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副作用や刺激を知って、リスクを避ける
男性のプロポーズの言葉に、『良いところも悪いところも丸ごと君を愛す』なんてありますが、スキンケアに限って言うならば、良いところだけをまるっといただき、悪いところはゴメンです。
ハイドロキノンは、濃いシミが消える、シミが出来にくくなる、透明肌になるといいことづくめです。厚生労働省で認可されてい美白成分の、10倍から100倍の効果が、あると言われ続けてきています。 しかし、良い薬には、必ず副作用がありますし、使い方を誤れば劇薬にもなります。シミへの働きが劇的であるハイドロキノンでもってしても、同じなのです。
ハイドロキノンは、高濃度がよく効くからと、何のリスクも知らずに市販のものをつければ、まずは失敗します。ハイドロキノンの良いところだけをいただくならば、副作用を知り、刺激性を知り、回避させる方法を学ばなくてはなりません。使いこなすには、マイナス部分から学ばなければ、後々困りますよ。
そもそもハイドロキノンって何?
ハイドロキノンとは、写真の現像で還元剤として、ゴムの老化防止剤や塗料として使われていた成分です。現像を行っている人の肌が白くなったことから、シミの還元作用を発見したと言われています。
ハイドロキノンは、天然植物にも含まれるアルブチンの一種ですが、実際には化学工場などで作られています。ハイドロキノンに、ブドウ糖を加えたアルブチンは、安定性が高く美白成分として広く用いられています。 しかしハイドロキノンは、熱や光、酸素によって、劣化し安定性も良くありません。肌につけると、強く刺激を感じたり、赤味、炎症、かゆみ等を引き起こすリスクがあるのです。
人気の火はアメリカでついた
それでも、できた濃いシミを薄くする還元性が注目され、アメリカではシミや色素沈着の治療薬として、利用され始めます。その頃の日本では、ハイドロキノンは危険であるというのが、定説でした。
やがて、日本でも皮膚科医が、ハイドロキノンを治療に使うようになります。一定期間ハイドロキノンを使用した後は、必ず皮膚科医に診てもらわなければ、リスクが高い状態でした。ハイドロキノンの保存方法も、冷蔵庫に入れ、できるだけ空気に触れないようにする必要がありました。
2001年に薬事法の規制緩和が行われ、ハイドロキノンの化粧品への使用が認められます。化粧品に配合してよいハイドロキノンの濃度は、4%と決められます。不思議なことに、アメリカでは2%です。
評判を聞いてウズウズしていた日本の女性は、ハイドロキノンの解禁をキッカケに、一気に使い始めます。高濃度のハイドロキノンに人気が、集まったのでしょう。肌の一部だけが白く抜けてしまう白斑、赤味、ただれ、赤褐色に変色するなどのトラブルが、次々に明らかになっていきます。
ハイドロキノンの正しい使い方
ハイドロキノンは正しい使い方をしなければ、逆効果になってしまいます。といっても、化粧品となれば、誰でも気軽に使えることも前提です。使い方のガイドラインを守れば、安心して使える物でなくてはなりません。
ハイドロキノンの正しい使い方について、詳細します。
- 配合濃度は3%以下
- 洗顔後、直ぐにつけない
- ピンポイント仕様であれば、顔全体につけない
- 夜だけつけて、日中は紫外線対策を行う
- 開封後は、できるだけ冷暗所に保管し、パッケージにある消費期限を守る
- 長期間使用し続けない(3ヵ月以上)
- トレチノインを同時に使う場合は皮膚科医の指導の元で行う
配合濃度は3%以下
アメリカで化粧品に配合して良いと言われているのは2%、日本では4%です。肌の弱い人は、1%でも肌に触れると刺激を感じてしまいます。
ハイドロキノンは、空気に直接触れると酸化して、ベンゾキノンという皮膚へダメージを与える物質を作ります。このため、塗るとき皮膚に触れないように、ハイドロキノンをカプセル化しているコスメメーカーもあります。
また、シミへの効果は濃度だけではありません。ハイドロキノンは、水溶性であるために皮膚への浸透力が弱く、浸透技術を施していないと、皮膚表面にとどまり効きません。濃度を下げて、浸透力の高いハイドロキノンを選ぶ方法もあります。
通常の皮膚でも、4%~5%になると刺激を感じます。一般的に4%以下であれば、白斑がおきないと言われています。3%以下をメアスにする、理由です。
洗顔後、直ぐにつけない
ハイドロキノンを原液でつけるわけではありませんが、それでも、洗顔後の肌は潤いが足りていないために、一気に吸収率が高くなります。洗顔後直ぐに、ハイドロキノン美容液をつけると、肌全体に伸びずに一箇所で吸収してしまいます。 刺激の強い成分だけに、肌の一箇所に浸透してしまうと、ダメージが強くなります。
たとえ洗顔後、化粧水前に使うピンポイント仕様のハイドロキノンであっても、直ぐにつけるのは避けます。10分くらい、肌の突っ張りがとれてから、使う方が楽なはずです。
肌全体に使うハイドロキノンの場合は、ハンドプレスで十分に化粧水を送り込んでから、ケアをします。化粧水が、満遍なく肌の隅々までハイドロキノンを届けてくれるからです。
ピンポイント仕様を顔全体につけない
ピンポイント仕様は、シミの部分だけ、はみ出さないように塗るハイドロキノンです。洗顔後、化粧水をつけずに塗ることが、指定されている場合が多くなります。化粧水をつけていないために、シミの周囲にハイドロキノンが滲まず、集中して作用させられます。
ピンポイント仕様を、顔全体につけると、まだらになったり白斑の原因になってしまいます。4%以下なら白斑はないと言われていますが、ピンポイントのものは別です。 ピンポイント仕様は、絶対に顔全体に伸ばしてはいけません。
夜だけつけて、日中は紫外線対策を行う
ハイドロキノンは、メラニン生成を抑制させる作用もあります。そのパワーは、アルブチンの100倍です。
メラニンは、紫外線から肌を守る役割を持っていて、メラニンの数が減れば日焼けします。紫外線により炎症を起こした肌は、逆にシミを作ってしまうのです。
ハイドロキノンは、就寝前につけて、日中は紫外線対策を忘れてはいけません。最低SPF20の日焼け止めを塗るようにと、皮膚科では指導しています。
開封後は、できるだけ冷暗所に保管し、パッケージにある消費期限を守る
ハイドロキノンをカプセルに詰め込み、安定化させた技術の進歩のおかげで、お店で購入が可能になりました。しかし、元々は、空気、光、熱に弱いものです。
開封後の品質保持には、気を配りたいですね。 直射日光の当たる場所に置きっ放し、容器のフタの閉め忘れなんてことは、もってのほかです。涼しい部屋の引き出しの中にしまい、消費期限が長くても3カ月以内に使い切りましょう。
長期間使用し続けない(3カ月以上)
美白ケアは、長期戦といわれていますが、ハイドロキノンは別です。刺激の強い成分を、3カ月もつけ続ければ、普通の肌でもダメージがきます。長期戦の言葉を鵜呑みにして、使い続けたあげくに、逆効果になってしまうことになりかねません。
3カ月間ハイドロキノンでケアをし続けたら、1カ月はお休みをさせるぐらいの、周期で行いましょう。
トレチノインを同時に使う場合は皮膚科医の指導の元で行う
皮膚科ではしみ治療を、ハイドロキノンとトレチノインを同時に処方されるところが多いようです。効果重視で、皮膚科と同様に、2つを一緒に使うのは止めてください。
トレチノインは、ピーリングと同じように肌の表面をはがして、肌の生まれ変わりを促します。強いハイドロキノンと一緒に使えるかどうかの判断は、個人では無理です。皮膚科医の判断が、必要です。
万が一、炎症を起こしてしまっても、皮膚科で処方された化粧品であれば、対応もスムーズで大きな事故にはなりません。